常に二者択一を迫られる、ストレスだらけの日常。せめて大好きな「散歩」くらいは、途中で立ち止まり、振り返り、あえて小さな路地に迷いこみながら闊歩したい。 ゆっくりと自分の目線で眺めながら歩いてこそ、見えてくる何かがあるはず?!

2010年5月2日日曜日

◆実家の近くの小さな滝にいたカワセミ


 GWは天気に恵まれ、レジャーや帰省に最適な1週間となりそうです。陽気に誘われて、自分の中の「放浪の虫」が黙っていてはくれません。とりあえず散歩の準備をして、家を飛び出ました。

 まず、向かったのは近場の「小石川後楽園」です。特別名勝と特別史跡に指定されるこの大名庭は、徳川光圀によって完成された回遊式築山泉水庭園で、水の流れと池、築山の起伏に富んだ緑の散策が楽しめます。ここは少し前、瑠璃色の美しいカワセミが棲みついたことで話題となりました。残念ながら今回、お目にかかることはできませんでしたが、まだ、生息しているのでしょうか? ともあれ、都会の真ん中に、これほど立派な庭園の緑があるのは心安らぎます。



お昼時にはもんぺ姿のおばさんが、園内を回って弁当を売り歩く姿も見られます。






 「渓流の宝石」と呼ばれるだけに、カワセミが生息するエリアは“山里はなれた美しい清流”と思われがちですが、意外とヒトの近くにいるものです。実は、山口県宇部の実家から約150mの場所に落差3mくらいの小さな滝があるのですが、ここにカワセミが棲みついていました。私は散歩の途中、毎日のようにカワセミの姿を2、3mくらいの間近で目撃していたのです。

 話は変わりますが、幼稚園に飛んでいって園児と遊ぶペリカン「カッタ君」――その映像をテレビで見た記憶はありませんか? カッタ君が暮らしていたのが宇部の常盤公園です。その昔、灌漑用に大きな湖が造られ、現在は湖畔に白鳥やコイ、ペリカンなどが多く生息する公園となっています。カッタ君はすでに死んでしまいましたが、いまでも公園に行くと放し飼いのペリカンが、ヒトのすぐそばをペタペタと歩いています。

 カワセミがいたという小さな滝は、この人造湖から国道190号線の下をくぐって、水が流れ落ちる場所にあります。大きな木がうっそうと茂り、国道側からは見えませんが、トラックやバスがたくさん走る片側2車線道路のすぐ脇です。そんな場所にカワセミが棲みつき、けっしてきれいとは言えない滝のよどみの小魚をめがけて、ダイブする姿がありました。

 帰省時にカワセミの姿を確認したのは、10年ぐらい前が最後です。今年3月に弟の結婚式で実家に戻ったときは、ほとんどとんぼ返りで、滝まで行けなかったのです。でも、あまり近寄る人もいないためでしょうか、滝の周りの木々はさらに深く、滝への小道は雑草が生い茂っている様子でした。たぶん、いまでもそこでカワセミがひっそりと暮らしている――そんな期待を膨らませました。

 故郷のカワセミへの想いを胸に、散歩を続けました。水道橋麺通団でうどんランチをとりながら、今日の散歩テーマは「おのぼりさん」に決定。まず、ドラマ「新参者」で人気上昇中の人形町(やはり人形焼屋の前には長蛇の列)から、水天宮を抜けて隅田川沿いを南下。佃島に渡り、月島を経て勝鬨橋から銀座に向かい、改築が惜しまれる歌舞伎座へといたるルートです。

 川辺の遊歩道は、GW中もあってか意外と人影もまばら。風も穏やかで気持ちのいい散歩コースです。永代橋、清洲橋、佃大橋、勝鬨橋など、隅田川に架かる橋は一つとして同じデザインはなく、これらの個性的な曲線美を一つひとつ楽しみながら散策するのもオススメです。

 もちろん、新名所である「スカイツリー」も遠方から鑑賞できます。東京に暮らしながらも、旅行者気分で非日常のTOKYOを楽しむ――考え方を少し変えれば、これほど充実した観光地は世界にも珍しいと思います。
【今日の散歩】
神楽坂→小石川後楽園→御茶ノ水→神田→人形町→水天宮→佃島→月島→銀座→東京→飯田橋(約15km)

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