常に二者択一を迫られる、ストレスだらけの日常。せめて大好きな「散歩」くらいは、途中で立ち止まり、振り返り、あえて小さな路地に迷いこみながら闊歩したい。 ゆっくりと自分の目線で眺めながら歩いてこそ、見えてくる何かがあるはず?!

2010年4月25日日曜日

◆大人の下町遊園地「立石」

 先日、取材で葛飾区の京成立石に行きました。ここは「大人の下町遊園地」とも紹介される、まさに昔ながらの情緒が残る下町です。京成の立石駅を降りた瞬間に、もつ焼き屋、焼き鳥屋、揚げ物屋の匂いが鼻をくすぐり、酒好きならずとも楽しい気分にさせてくれます。

 聞くところでは、昼間からオープンしているチョイ呑みの居酒屋も多く、開店前から行列ができる人気店もあるそうです。駅前の踏み切りに続くメインのアーケード街から、1本外れた場所に小さなアーケード通り「立石仲見世商店街」があり、先の焼き物、揚げ物の匂いの出所となるお店が、軒を連ねています。かつての闇市の名残を引くたたずまいは、まさに下町を代表するような風景。子ども2人を乗せた3人乗りのおばさん自転車が、狭い路地を行きかったりしています。

 また、踏切を隔てた反対側には、「鳥房」という人気の居酒屋があり、その奥には、これまた昭和の香りが色濃く残る「呑んべ横丁」もあります。駅前近辺にはモツ焼き屋が異様なほど多く、まだ明るいうちから、オヤジたち(女性も多い)が煙の中で陽気に呑んでいる様子は、見ていて笑ってしまうほどです。

 そんな立石の街を歩いていて、ふと、こういう風景こそ、いまの子どもたちに見せて(体験させて)あげることが大切なのでは…と考えました。花見の席や草野球もそうですが、親たちが本当に楽しんでいる姿の記憶は、けっこう後々まで覚えているものだと、自分自身を振り返ってみてそう感じたからです。

 ガイドブックや観光案内などでは、「下町情緒」というキャッチコピーがいたるところに使われます。これは昔ながらの「懐かしさ」「人情」といった、雰囲気やイメージをひと言で伝えるにはとても便利な言葉です。最近はやたらとこの言葉が使われすぎて、あたかもマーケティングや広告活動のブランド用語として、一人歩きしている気さえします。しかし、この耳ざわりの良い言葉のうわべだけをなぞるのではなく、その深いところ――日常の泥臭い暮らしの中――にこそ、本当に大切なものがあるのではないでしょうか。

「下町情緒だって?知らないね。これが私の日常だけどなにか?」と言いたげ(笑)
【今日の散歩】
立石駅近辺(約3km)
 

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