常に二者択一を迫られる、ストレスだらけの日常。せめて大好きな「散歩」くらいは、途中で立ち止まり、振り返り、あえて小さな路地に迷いこみながら闊歩したい。 ゆっくりと自分の目線で眺めながら歩いてこそ、見えてくる何かがあるはず?!

2010年4月21日水曜日

◆夜の神楽坂散歩の密かな楽しみ

 空が暗くなり、お店の電飾が目立ちはじめる夕方6時くらいから、神楽坂の路地裏を散歩するのが好きです。予約のお客さんがぼちぼち来店してくる時間。料亭や飲食店がこれから忙しくなる間際に、時間がポッカリと空いてしまったような、妙に落ち着いた空気を肌で感じながら、狭い路地を選んで散歩します。
 厨房から外に出て一服している料理人や、仕込みの余りものを通いネコに分け与えるお店のスタッフ、玄関に盛り塩を置くママさんなど・・・神楽坂がその本領を発揮しようという前に、ちょっとだけ垣間見ることができるこの街のもう1つの顔です。お座敷に急ぐ芸者さんと、路地角でばったりニアミスになることもあり、けっこう楽しいものです。

 実はもう1つ、あまり人には自慢できない自分だけの楽しみ方があります。それが街の匂いです。冬場の寒い時期はいまひとつですが、今日のように暖かくなってくると、お店や民家の入り口や窓が開けられ、仕込んでいる料理のさまざまな香りや、民家の夕飯の匂いがそこら中に漂ってきます。
 焼き魚や煮物、ごま油の香りから、玉ねぎを炒めた甘くて香ばしい香り、肉を焼く魅力的な煙、カレーやガーリックのパンチの効いた一撃まで、歩くたびにさまざまな料理の香りに包まれます。さらに、バーのどことなく湿った部屋の匂いや、座敷の畳、女性の香水まで、鼻に届く匂いの出所をキョロキョロと探りながら歩くのが好きです。

 この夕暮れ散歩に出かけるときには、必ずiPhoneからイヤフォンで音楽を聴き、度がかなり弱くなった室内用(仕事用)のメガネをかけて外出します。耳を音楽でふさがれ、視力もあえて弱くすると、不思議と鼻が敏感になってきます(経験上、たぶん間違いないと思う)。そのうえで街の匂いをたどって徘徊する、密かな楽しみに浸るのです。
 おそらく、私は立派な匂いフェチ! ひとつ間違えば、変質者の領域に入る人間かもしれません。
【今日の散歩】
神楽坂近辺(約1.5km)

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